①カウンセリング妊娠・分娩の管理,遺伝(再発危険率),母体・胎児の予後,家族の協力体制,心理学的アプローチなど
②診療体制チーム診療,望ましい診療施設基準,周産期センターとの協力など
③母体管理循環動態のモニタリング,各心疾患別の管理,避妊法,薬物治療,インターベンション(カテーテル治療,
心臓血管手術),父性管理など
④胎児管理母体の心疾患の胎児への影響,母体投与薬物の胎児への影響,胎児well-beingのモニタリング,胎児先天
異常の診断,胎児治療
⑤周産期管理周産期モニタリング,分娩誘発法,麻酔法,分娩管理,新生児管理(早産・低出生体重児,先天性心疾患児),
母体投与薬物の母乳移行,授乳が母体の心疾患に与える影響,育児
⑥出生児および母体の
出産後遠隔期管理
母体の心機能評価,妊娠・分娩が心疾患の自然歴に与える影響,児の成長発達,次回妊娠時の注意点など

Ⅵ 将来的な研究の方向性

 今回のガイドラインは,2005年の前回ガイドライン公表後に報告された論文のデータを,可能な限り取り入れている.しかし,疾患別の総妊娠・出産数が少なく,
倫理的に対照を設けた研究が行えないために,多くは経験的な研究に限られている.新しい研究が少ないため,前回の記述を踏襲した部分も少なくない.このよう
な状況の中で,今後の改訂に向けての研究の方向性を概観してみる.

 今後の診療・研究の方向性は,大きく分けると,(1)カウンセリング,(2)診療体制,(3)母体管理(父性管理),(4)胎児管理,(5)周産期管理,(6)出生児および母体の出産後の遠隔期管理に分類可能である.これら6 項目について以下に要約する(表43)
1 カウンセリング(Prepregnancy Counseling) 2 診療体制 3 母体管理(Maternal Management) 4 胎児管理(Fetal Assessment) 5 周産期管理(Perinatal Management) 6 出生児および母体の出産後遠隔期管理(Long-term Follow-up of Mother and Child)
表43 心疾患女性の妊娠・出産に関する,今後の研究の方向性
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心疾患患者の妊娠・出産の適応、管理に関するガイドライン(2010年改訂版)
Guidelines for Indication and Management of Pregnancy and Delivery in Women with Heart Disease (JCS 2010)