6 出生児および母体の出産後遠隔期管理(Long-term Follow-up of Mother and Child)
中等症以上の心疾患では,心不全,不整脈,血栓形成などの母体合併症が知られているが,これら合併症の長期予後についてはほとんど知られていない.しかし,これらの合併症が遷延した場合,母体の生命予後や罹病率に与える影響は大きく,また,育児にも影響すると考えられる.これらの合併症の中長期予後の解明,危険因子の解析なども,今後重要な課題である.早期産児や低出生体重児の分娩が少なくないが,出生児の予後,発達,管理方法などに関しても,明らかになっていない.次の妊娠・出産を希望する場合の,母体および胎児の危険率に関しても明らかではない.
今後,チーム医療の発達,心疾患女性の妊娠・出産数の増加,心疾患女性の妊娠・出産の登録制度の順調な運営が予想される.次回のガイドライン改訂時期までには,以上に述べた研究の方向性や,現在の問題点のいくつかは,解明されていることが期待される.
心疾患患者の妊娠・出産の適応、管理に関するガイドライン(2010年改訂版)
Guidelines for Indication and Management of Pregnancy and Delivery in Women with Heart Disease (JCS 2010)