◦肺高血圧症(Eisenmenger症候群)
◦流出路狭窄(大動脈弁高度狭窄平均圧:>40~50mmHg)
◦心不全(NYHA分類Ⅲ- Ⅳ度,左室駆出率<35~40%)
◦Marfan症候群(上行大動脈拡張期径>40mm)
◦機械弁
◦チアノーゼ性心疾患(動脈血酸素飽和度<85%)
1 母体からみた判断
 「禁忌疾患/病態」の表4に該当する場合には,母児ともに極めてハイリスクのため,人工妊娠中絶が勧められる.

 心不全や不整脈のため母体の病態が継続的に悪化し,母体の健康ないし生命が著しく脅かされることが予測される場合には,妊娠中断(中絶ないし早期娩出)を考慮する.また,母体の病態の継続的な悪化のため,胎児頭囲の発育が停止した場合には,妊娠の中断(早期娩出)とする.

 心不全悪化の診断は,安静療法にもかかわらず呼吸苦を訴える,継続的に心拍数が増えていく,浮腫が増強する,体重が急速に増加する,などの徴候がみられることによる.胸部X線検査で心拡大の進行と肺うっ血の出現が認められた場合には,循環器を専門とする医師にコンサルトする.

 不整脈では,それによる心不全の悪化や,危険な不整脈(心室頻拍発作など)を繰り返す場合は,妊娠の中断(中絶ないし早期娩出)を考慮する.
 
 チアノーゼの場合は,「先天性心疾患」─「チアノーゼ残存例」を参照する.
表4  妊娠の際に厳重な注意を要する,あるいは,妊娠を避けることが強く望まれる心疾患
(文献64〜66より引用改変)
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心疾患患者の妊娠・出産の適応、管理に関するガイドライン(2010年改訂版)
Guidelines for Indication and Management of Pregnancy and Delivery in Women with Heart Disease (JCS 2010)