1 催奇形性と胎児毒性
 Placeboとの比較試験が少ないために,明らかに使用禁忌とされている薬は少ない.同様に,臨床試験が十分に蓄積されていないので,使用が安全とされている薬も少ない(レベルC).多くの文献からその使用が安全とされているのは,メチルドパとヒドララジンである11).アンジオテンシン変換酵素阻害薬やアンジオテンシン受
容体拮抗薬は,胎児・新生児の腎臓に直接作用して,腎不全や流産・死産などを引き起こすため,妊娠第2 〜3期の使用は禁忌とされる11),345)(レベルB).また,対照研究ではないが,ヒトへのアンジオテンシン変換酵素阻害薬の使用において,催奇形性が報告されているため153),妊娠第1期の使用においても,厳重な注意が必要である.同様な作用機序のアンジオテンシン受容体拮抗薬についても,催奇形性と胎児毒性への注意が必要である.
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心疾患患者の妊娠・出産の適応、管理に関するガイドライン(2010年改訂版)
Guidelines for Indication and Management of Pregnancy and Delivery in Women with Heart Disease (JCS 2010)