◦過剰投与による過強陣痛
 (間欠期1分以内,発作90秒以上)
◦胎児機能不全および胎児死亡
◦子宮破裂
◦分娩後出血
◦不整脈,血圧変動
◦大量輸液による肺水腫
◦悪心,嘔吐
1)オキシトシンと共通するもの
◦過剰投与による過強陣痛
 (間欠期1分以内,発作90秒以上)
◦胎児機能不全および胎児死亡
◦子宮破裂
◦分娩後出血
◦不整脈,血圧変動
◦悪心・嘔吐 
2)プロスタグランジンの平滑筋刺激作用によるもの
◦腹痛,下痢(消化管刺激による)
◦咳,喘鳴,呼吸困難
 (気管支平滑筋の刺激による)
3)その他
◦動悸,頻脈
◦薬剤静脈投与中,注入部の静脈炎
4 硬膜外無痛分娩の方法
 妊婦は麻酔中の誤嚥性肺炎の危険性が高いため,麻酔開始8時間前には絶飲食とする.下部腰椎間に留置した硬膜外カテーテルより,低濃度局所麻酔薬
(0.25%ブピバカイン)を3mLずつ9〜12mLまで少量分割注入し,T10以下の無痛域を得る.その後は,0.1%ロピバカインなどとフェンタニル2μg/mL混合液を6 〜12mL/hrで持続硬膜外注入し,急激な交感神経遮断を避けつつ十分な鎮痛を図る.分娩中は側臥位とし,適切なモニタリングを継続する.子宮収縮に伴う変動を的確に把握するためには,観血的モニタリングや経胸壁心エコー検査の有用性が高い(レベルC).

 出産時には怒責を避け,鉗子・吸引分娩により分娩第Ⅱ期短縮を図る.児娩出後に弛緩出血対策として用いられる子宮収縮促進薬は,それぞれに心血管系に対する特有の副作用がある(表34,36).マレイン酸メチルエルゴメトリンは血管収縮作用が強く,高血圧や冠動脈攣縮などを来たすことがある.したがって,児娩出後の子宮収縮薬の投与は回避するか,必要ならばオキシトシンを持続静注することで影響を最小限にする(レベルC).

 なお,抗凝固療法を継続している場合には,硬膜外血腫などのリスクがあるため,この方法は避ける必要がある.
表34 オキシトシンの副作用
表36 プロスタグランジン(PG)の副作用
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心疾患患者の妊娠・出産の適応、管理に関するガイドライン(2010年改訂版)
Guidelines for Indication and Management of Pregnancy and Delivery in Women with Heart Disease (JCS 2010)