薬剤分類FDA
勧告* 副作用・特徴催奇形性使用中の授乳
添付文書*2
妊婦授乳
メチルドパ中枢性降圧薬B 倦怠 口渇 欧米で選択なし恐らく可能2 1
クロニジン中枢性降圧薬C 使用報告少ないなし恐らく可能2
アテノロールβ遮断薬D IUGR 低血糖 徐脈なし潜在的毒性2 1
プロプラノロールβ遮断薬C→D IUGR 低血糖 徐脈なし潜在的毒性2 1
メトプロロールβ遮断薬C→D IUGR 低血糖 徐脈なし潜在的毒性1 1
オクスプレノロールβ遮断薬C→D IUGR 低血糖 徐脈なし潜在的毒性1 1
ラベタロールβ遮断薬C IUGR 低血糖 徐脈なし恐らく可能1 1
ソタロールβ遮断薬B→D 徐脈なし潜在的毒性2 1
ヒドララジン末梢血管拡張薬C 頭痛 新生児血小板減少なし恐らく可能2 1
ニフェジピン
ニカルジピン
カルシウム
拮抗薬C 頭痛 動悸 低血圧なし恐らく可能1 1
硝酸イソソルビド硝酸薬C 使用報告少ないなし恐らく可能2 1
カプトプリル*3 アンジオテンシン
変換酵素阻害薬*3 C→D
胎児腎形成障害
腎不全 羊水過小あり*3 可能1 1
エナラプリル*3 アンジオテンシン
変換酵素阻害薬*3 C→D
胎児腎形成障害
腎不全 羊水過小あり*3 恐らく可能1 1
カンデサルタン*4
ロサルタン*4
アンジオテンシン
受容体拮抗薬*4 C→D
胎児腎形成障害
腎不全 羊水過小あり*4 恐らく可能1 1
フロセミド 利尿薬C(D) 子宮胎盤循環低下
胎児脱水なし恐らく可能2 1
スピロノラクトン利尿薬C(D) 女性化作用の可能性なし恐らく可能2 1
ヒドロクロロチアジド利尿薬C(D) 血小板減少 溶血性貧血なし可能2 1
3 降圧薬投与の可否とその選択
軽症から中等度の高血圧合併妊娠に対する降圧薬の有用性につき,46論文4,282例で検討したCochrane review346)では,どの降圧薬が有用であるかは結論付けられないと報告されている(レベルA).
我が国および外国で妊娠中に使用されている主な降圧薬の特徴,副作用,ならびに授乳に関する注意点を表29に示す11),347).
表29 主な降圧薬の特徴(妊娠中および授乳中の使用)
IUGR:子宮内胎児発育不全
注) 薬剤情報は主に“Drugs in Pregnancy and Lactation 8th edition(2008)”(文献11) に従った.
* B→D/C→D:妊娠第1期の使用はBまたはC分類だが,妊娠第2-3期の使用はD分類となる
C(D):通常はC分類だが,妊娠高血圧に使用の場合はD分類となる
* 2 薬剤添付文書による,(妊産婦/授乳婦)への投与に関する情報(空欄は記載のない薬剤)
1 禁 忌:妊婦または妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと.また,投与中に妊娠が判明した場合には,ただち
に投与を中止すること.授乳中の婦人に投与することを避け,やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること
2 相対禁忌:治療上の有益性が危険を上回ると判断される場合のみ投与すること.妊娠または妊娠している可能性のある婦人に
は投与しないことが望ましい.妊娠中の投与に対する安全性は確立されていない
* 3 アンジオテンシン変換酵素阻害薬は催奇形性が報告されているため(文献153),妊娠第1期の投与にも厳重な注意が必要である
* 4 同様な作用機序の,アンジオテンシン受容体拮抗薬も催奇形性への注意が必要である
【注意事項】
1) 妊婦への使用に際しては,適応・禁忌を確認すること
2) 適応外または禁忌とされる薬物を使用する場合は,十分な説明と同意を得ること
心疾患患者の妊娠・出産の適応、管理に関するガイドライン(2010年改訂版)
Guidelines for Indication and Management of Pregnancy and Delivery in Women with Heart Disease (JCS 2010)