血栓溶解療法
経皮的冠動脈形成術
狭 心 症急性心筋梗塞
β遮断薬 + アスピリン
経皮的冠動脈形成術,
冠動脈バイパス術を考慮
コントロール不良
症状・基礎疾患の有無,
高血圧,喫煙などのリスク評価
虚血性心疾患合併の疑い
心電図検査・心臓超音波検査
採血検査(生化学的診断にはトロポニンを測定)
注)妊娠に虚血性心疾患を合併することがあることを念頭に置く。
  常に胎児への侵襲度を考慮する。
  冠動脈造影は,
PCI/CABGまで考慮した上で施行する。
  分娩時に十分な除痛,酸素投与,モニタリングを施行する。
5 虚血イベント予防への対処(図7)
 妊娠中および産褥期の心血管系へのストレスを可能な限り減らすことに留意する.妊娠初期にコントロール不良な心筋虚血が認められる場合は,中絶を考慮する
(レベルC).分娩時には適度な除痛と酸素投与が必要である.虚血性心疾患合併妊娠の分娩に帝王切開は必須ではないが,適切な薬物治療にもかかわらず心筋虚血が明らかで,循環動態が不安定なときには,帝王切開を選択する.いずれの出産後にも,最低数時間は,循環動態の持続モニターが推奨される.

 極端な血圧上昇や頻脈は避ける必要がある.胸痛や不安の軽減にはモルヒネが有効ではある(レベルC)が,新生児の呼吸抑制を来たす可能性がある.経口硝酸薬は虚血性心疾患や血圧コントロールのために使用されることが多いが,安全性についての情報は少ない.抗血小板薬を投与中の症例では,貧血のチェックを頻回に行う必要がある.

図7 妊娠に伴う虚血性心疾患への対処
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心疾患患者の妊娠・出産の適応、管理に関するガイドライン(2010年改訂版)
Guidelines for Indication and Management of Pregnancy and Delivery in Women with Heart Disease (JCS 2010)