Biophysical variable 正常(スコア= 2) 異常(スコア= 0)
胎児呼吸様運動(FBM) 30秒以上のFBMが30分間に1回以上30秒以上のFBMを30分間で認めない
胎動(FM) 明瞭な躯幹/四肢の運動が30分間に3回以上(連続運動は1回と数える)
躯幹/四肢の運動が30分間に2回以下
胎児筋緊張(FT) 躯幹/四肢の伸展とそれに引き続く屈曲が30分間に1回以上か,手掌の開閉運動が1回以上
弱い四肢の伸展位で屈位に回復しない,胎動消失,手掌が一部開いたまま
Non Stress Test(NST) 胎動に伴う一過性頻脈(15bpm以上,15秒以上)が20分間で2回以上
一過性頻脈が20分間で1回以下か,15bpm未満のとき
羊水量(AFV) 垂直断面像で2cm以上の羊水ポケットが認められる羊水ポケットがないか,2cm未満のとき
2 超音波断層法
123),124)
超音波断層法を用いてBiophysical profile(BPP)を観察する. これは呼吸様運動, 胎動, 筋緊張,Non Stress Test( NST),羊水量の5項目からなるスコアリン
グシステムである.正常を2,異常を0として,その合計点により胎児の状態を評価するが,4 点以下が異常と定義されている(表10).
BPPには,急性期と慢性期のマーカーが混在している.例えば,NSTにおける一過性頻脈の消失,呼吸様運動と胎動の減少,筋緊張低下などの変化は,急性期の変化と考えられる.これに対して羊水量の減少は,慢性的な低酸素状態時の血流再分配機構により,腎臓への血流が減少した結果,尿量の低下を来たすことで引き起こされると解されている.
羊水量の簡単な評価法にAmniotic Fluid Index(AFI)がある.これは,超音波プローブを母体の長軸に沿って垂直に置き,子宮が4 分割された場所でのそれぞれの羊水深度の和をcmで表したものである.AFI が5cm以下の場合を羊水過小と判定し,この場合は,胎児の状態が悪く帝王切開となる症例や,Apgar Score や臍帯動脈血pHの低値を示す症例が増加することが知られている.このAFI とNSTを組み合わせた胎児評価法は,modified biophysical profile( modified BPP) と呼ばれ,どちらもよければそのまま経過観察,一方が悪ければ一段階上の検査法(Contraction Stress Test あるいはBPP),そしてどちらも悪ければ分娩を考慮するというアルゴリズムで,広く用いられるようになってきた.
表10 Biophysical profile(BPP)の判定基準
(Manning FA,et al. Am J Obstet Gynecol 1980; 136:787-795より)
心疾患患者の妊娠・出産の適応、管理に関するガイドライン(2010年改訂版)
Guidelines for Indication and Management of Pregnancy and Delivery in Women with Heart Disease (JCS 2010)