◦肺高血圧症(Eisenmenger症候群)
◦流出路狭窄(大動脈弁高度狭窄平均圧:>40~50mmHg)
◦心不全(NYHA分類Ⅲ- Ⅳ度,左室駆出率<35~40%)
◦Marfan症候群(上行大動脈拡張期径>40mm)
◦機械弁
◦チアノーゼ性心疾患(動脈血酸素飽和度<85%)
(文献64〜66より引用改変)
Ⅰ度心疾患があるが,身体活動に制限なし,通常の労作で
症状なし
Ⅱ度心疾患があり,身体活動が軽度に制限される,通常の
労作で症状あり
Ⅲ度心疾患があり,身体活動が著しく制限される,通常以
下の労作で症状あり
Ⅳ度心疾患があり,すべての身体活動で症状が出現する.
安静時にも症状があり,労作で増強する
3 禁忌疾患/病態
 妊娠の禁忌を考える際に,ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association:NYHA)の心機能分類が用いられることが多い(表3).比較的安全と考えられているNYHA分類Ⅱ度以下では,妊娠が許容されることが多いが,それでも死亡例がみられるので,NYHA心機能分類のみで予後を推定し絶対的な判断を下すことは危険である.Perloff & Koos は,母体死亡率はNYHA分類Ⅰ〜Ⅱ度で0.4%,NYHA分類Ⅲ〜Ⅳ度で6.8%,胎児死亡率はNYHA分類Ⅳ度で30%と報告している63)

 妊娠の際に厳重な注意を要する,あるいは,妊娠を避けることが強く望まれる心疾患・病態としては,表4に示すものが挙げられる64)-66).これらでは,母体・胎児
ともに死亡率や罹病率が高く,妊娠を勧めることはできない.妊娠が判明した場合,話し合いによって中絶することが好ましいが,妊娠を継続する場合には,高いリス
クを十分に伝えた上で,厳重な注意を要する.
表3 NYHA(New York Heart Association)の心機能分類
表4  妊娠の際に厳重な注意を要する,あるいは,妊娠を避けることが強く望まれる心疾患
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心疾患患者の妊娠・出産の適応、管理に関するガイドライン(2010年改訂版)
Guidelines for Indication and Management of Pregnancy and Delivery in Women with Heart Disease (JCS 2010)