妊娠の禁忌を考える際に,ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association:NYHA)の心機能分類が用いられることが多い(表3).比較的安全と考えられているNYHA分類Ⅱ度以下では,妊娠が許容されることが多いが,それでも死亡例がみられるので,NYHA心機能分類のみで予後を推定し絶対的な判断を下すことは危険である.Perloff & Koos は,母体死亡率はNYHA分類Ⅰ〜Ⅱ度で0.4%,NYHA分類Ⅲ〜Ⅳ度で6.8%,胎児死亡率はNYHA分類Ⅳ度で30%と報告している63).