4 血管壁の変化
 妊娠中にはエストロゲンやエラスターゼの影響で血管壁の構造にも明らかな変化が生じ,その脆弱性が増す.大動脈壁の中膜には,細網線維の断裂,酸性ムコ多糖類の減少,弾性線維配列の変化,平滑筋細胞の増殖と過形成が認められる.これらの変化により,妊娠中の大動脈径は軽度増加し,動脈壁のコンプライアンスも上昇する.一方,これらの変化は大動脈壁の脆弱性を増すため,上行大動脈拡大を伴うMarfan症候群などでは,大動脈解離を引き起こす危険性がある39)-41)
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心疾患患者の妊娠・出産の適応、管理に関するガイドライン(2010年改訂版)
Guidelines for Indication and Management of Pregnancy and Delivery in Women with Heart Disease (JCS 2010)