2 妊娠前の検査項目
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 妊娠年齢の心疾患女性が,妊娠・出産時の変化に十分に適応できるかどうか,妊娠前に予測する必要がある.肺動脈圧,心室機能,大動脈径,チアノーゼ,NYHA
心機能分類などを把握することは,母体・胎児の合併症を予測する上で重要である.これらの評価を行うための妊娠前検査には,病歴,診察,胸部X線,心電図,心臓
超音波検査などが含まれる.必要であれば,心臓カテーテル検査も行う.心機能の予備能が低下していると考えられる場合(NYHA分類Ⅱ度以上の場合,NYHA分
類Ⅰ度でも左室駆出率が低下している場合,NYHA分類Ⅰ度の大動脈弁狭窄の場合など)は,運動負荷テストを行う.運動負荷テストは,妊娠後期と同様の循環動態に対応できるかを判定できるため,心機能の予備能の客観的評価法として有用である42),43).不整脈を認める場合は,Holter心電図を行う.また,大動脈拡張を生じやすい疾患(Marfan症候群など)で,大動脈の評価が十分でない場合は,心臓MRI 検査や心臓CT検査などを行う44).これらの検査所見を組み合わせて,妊娠リスクを予測し,患者と妊娠について十分に話し合うことが重要である.(「妊娠中の循環動態評価」参照
心疾患患者の妊娠・出産の適応、管理に関するガイドライン(2010年改訂版)
Guidelines for Indication and Management of Pregnancy and Delivery in Women with Heart Disease (JCS 2010)